自動車交通の安全性は交通事故の発生によって計測される。この自動車交通における交通事故を戦前の昭和元年から21年までの資料から展望してみたい。戦前は自動車の台数が少ないにも関わらず、交通事故が発生していることが分かる。その後、戦後の交通事故に関してその推移を展望し、それぞれの局面を検討してみたい。最後にこの10年間の交通事故の推移を展望し、統計数値による分析を試みたい。
2011年3月11日に発生した東日本大震災では、鉄道も甚大な被害を受けた。被災地からは、鉄道復旧の費用負担には多くの困難があることが報じられている。また、「復興の起爆剤」として高速道路建設を推進する動きも顕著にみられる。本報告では、これらの先進事例として、長崎県島原半島を取り上げたい。まず、噴火災害後の島原半島の状況を、「地域社会の復興」というテーマを軸にして、分析する。そして、この事例の教訓を他の事例で活用するにはどのようにすればよいのかを、ご参加の皆様と共に議論したい。
鉄道の新線開業や路線延長には多額の建設費がかかる。鉄道事業者が、新線建設による建設費や維持費を利用者に求めることができる制度として、通常の普通運賃に上乗せする加算運賃制度が認められている。しかし、建設費の回収状況に関する情報開示はほとんど行なわれていないばかりか、加算運賃はほとんどの場合長期にわたって継続されているのが現状である。本報告は、鉄道の加算運賃制度の現状と課題について考察するものである。
2012年という年は、日本において新規に開業する鉄道・軌道が皆無である。しかも、この状態は2013年、2014年も続く見込みである。さらにこれは2011年3月以降から始まっているので、4年間も続くのである。こんな状態はかつてあったであろうか。実はほぼ、1872年の鉄道創業以来といっても過言ではないのだ。空白であった年は初期の3年(1873・1878・1881年)のみなのである。すなわち、戦中も戦後まもなくも含め、毎年毎年連綿と開業が続いていたのだ。この実態と背景に迫ってみたい。
電気自動車・プラグインハイブリッド車等の普及が推進されているが、一見環境に良いとされるこれらのシステムには原発の推進につながる要素が指摘される。一方、自動車重量税減税などさらなる自動車交通を促進する政策が実施される一方で、ダーバン会議における日本の京都議定書第二約束期間放棄など公共交通の活用やモーダルシフトの根拠は薄れつつある。事実上、自動車の販売促進政策となっている国内の交通環境対策について検討する。
東日本大震災からすでに9ケ月を経過した。本報告では、電力や道路などの他のインフラに比較して鉄道の復旧が大きく遅れていること、三陸鉄道とJR東日本では再建姿勢において対照的であること、地域鉄道の再編成が必要であるという視点から、被災地における鉄道の再建問題を試案的に論じることを目的としている。
人が生まれもっている交通手段は歩行である。交通権には「歩行者の交通権」も含まれる。しかしながら、歩行者は法的規制を意識して歩いていない。そこで「歩行者の交通権」を考えるにあたり、「道路交通法」ではどのように規制されているのかを法文で明らかにしたい。
具体的には「第2章 歩行者の通行方法」を中心に歩行者の法的規制を検討したい。その後に、平成22年の統計により現在の歩行者の交通事故の実態を明らかにしてみたい。
地方私鉄の乗車人員は、接続するJR旅客会社や大手私鉄の路線の利便性に大きく左右されることがある。昨今、十和田観光電鉄が存続の危機に陥っていることが報道されている。
東北新幹線の開業に伴い、接続する旧JR東北本線三沢駅への特急の発着がなくなり乗車人員の減少が加速したと言う。本報告では、地方私鉄とJR旅客会社・大手私鉄の連携を強化することによって、地方私鉄のみならず、JR旅客会社・大手私鉄の乗車人員も増やす“Win・Winの関係”を実現する方策について議論する。
最近の土木学会・土木計画学研究発表会の報告テーマを一覧し、交通権との関連を考え、交通権との関連を考え、交通権の具体化に必要な研究課題や手法について検討する。自治体行政と地域交通・災害時の交通や情報提供のあり方、まちづくりと総合交通政策、家庭・エネルギー部門における低炭素政策、地域モビリティ確保における住民参加、交通のQOLの関連、子育てしやすいまちづくり、コンパクトシティ等のテーマを取り上げる。
フランスの地方都市圏においては、フランス国鉄の地域圏輸送、都市公共交通で運営・管轄が分かれているが、広域行政組織の活用により、運営・管轄の相違を超えてドイツの運輸連合のような広域的レベルで統合化された枠組みを目指す動向がある。本研究では、フランスにおける運輸連合を目指した制度的変遷、その全体像を整理するとともに、トラム・トレインの整備事例を通じて、広域交通連合の意義と課題を整理することを試みる。
交通権学会研究奨励基金からの助成(2010年度)を受けている研究の中間報告を行います。報告者は一昨年から公共交通へのアクセス度を軸とする指標開発に取り組んでおり、これを進展させつつ、具体的な地域に適用して分析しています。
もう半世紀近く前、路面電車廃止と地下鉄新線建設という風潮が欧米や日本に到来した。 そのとき、将来は本格的な地下鉄にするが、当面は地下鉄に高床と低床の乗降場を併設し、第3軌条の既設地下鉄トンネルに、架空線の路面電車を乗入れさせ簡易地下鉄路線にするBrussel方式が提案され、まだ運行している。日本は法制上、鉄道と軌道の別、地下鉄の火災対策基準等や信号保安設備の面で制約が少なくないが、地下鉄新線建設が一段落した今日、地下鉄の培養線として既設鉄軌道との連絡線、公共交通欠地域への小規模延長線に、LRT/BRTのプレメトロ的導入が考えられよう。
社団法人日本損害保険協会から、2008年(平成20年)4月から2009年(平成21年)3月までの自動車保険の支払いデータをまとめた『自動車保険データにみる交通事故の実態』が発刊された。当報告書では人身事故の損失だけでなく物損事故の損失についても保険金データにより、直接的に発生した「経済的損害額(ロスコスト)」の全体像を把握している。さらに年齢別・受傷部位別等の分類により、加害者・被害者の特徴、被害者の損傷状況と死亡率などの関係なども把握できる。これらについて報告したい。
わが国の交通機関における、女性専用車(女性専用席等を含む)の実施状況。(海外のものについては、正確な調査が困難である事、また治安や宗教上の理由もあり単純には比較できないので、現時点では調査や発表する予定はありません。)
・警察を呼んで強制排除に及んだ、首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)に対する発表者が申し立てた民事調停について
・琉球バス交通がこの9月から始めた、「倶志川線」女性専用車の波紋
交通基本法案には「健康で文化的な最低限度の生活を営むために必要な移動」との文言がある。しかしそれが具体的にどのような状態を指すのかについて、法案にも具体的な記述はなく議論もされていない。交通権の保障を実際に政策化してゆくためには、数値的な指標や、費用対効果の分析が不可欠である。どのような検討を行えばよいのか関連研究のレビューに始まり研究ノートとして提起したい。
地方自治体は、公共交通のトータルプロデューサーになることが求められている。しかしながら、現実には、地方自治体が公共交通を担うにはほど遠い現状がある。また、民主党政権下で「地域主権」が展開されようとしている。報告者がこの3年間にヒアリングした自治体の様子などから、主に地方財政の観点、担当職員の問題の2点について考えるとともに、民主党「地域主権」政策は、真に地域主権をもたらすものなのだろうか。「地域主権」政策について批判的検討を加えたい。
民主党新政権による高速道路無料化の方向は、カーフェリー、鉄道、高速バスなどの業界に激震をもたらしている。航路は廃止も続出している。また、離島への航路、航空路も、その維持が人口減少および財政難などから次第に困難になりつつある。北海道、本州、四国、九州という主要4島と420余の有人島からなる日本であるが、これらを結ぶ「海越えのアクセス」について、橋やトンネルも含め、その現状と今後の展望を徹底的に考察してみたい。
「女性専用車」は男性を一律に締め出すものであり、「男女平等」に反する‥と思いませんか? ところが、鉄道事業者を問い詰めると、「法的強制力は無く、あくまでも任意の協力であり、男性の乗車を禁止した訳ではない。」と「逃げ口上」を並べます。このように、任意性を隠して「男性の乗車は禁止されている」と「勘違い」させなければ成り立たない「女性専用車」について、「交通権の侵害」という観点から、皆様のご意見を伺いたいと思います。
国交省から交通基本法の中間整理が発表され成立に向けて動き出している。基本法には交通権に関する事項が既に盛り込まれ、反対する内容はない。しかし基本法には抽象的な記述しかなく、現実の交通政策への展開や既存法との関連など、今後に多くの課題が残されている。こうした状況を受けて、交通基本法を活用し人々の交通権保障に向けての研究面ではどのような支援が望まれるかを提案する。
現在、都内の地下鉄は東京メトロと東京都の二事業者により運営されているが、今これらを統合しようという議論がなされている。特に、東京都副知事の猪瀬直樹氏が積極的に推進している。本報告では「歴史」「運賃」「財政」の3つの観点からこの問題を検討する。「歴史」ではなぜ東京の地下鉄は二事業者で運営されているのか、「運賃」では、事業者二つになることで生じる利用者の不利益とは何か、「財政」では両社の経営状況の違いは統合にどのような影響があるのかについてそれぞれ論じる。
2009年7月の研究大会で報告した「公共交通アクセスビリテイ」を指標化する研究について、その後の進展を報告します。全国の市町村について初めて概算算出をおこなったこと、路面電車がある都市の結果を分析して各都市の特徴を定量化できたこと、等です。
新政権の交通政策として、高速道路無料化、自動車関連税制の変更が提案されている。その一方で「交通基本法」の制定も検討されている。こうした状況を受けて(1)高速道路無料化に関する定量的評価、(2)交通基本法の現状と諸論点、(3)これらを受けた研究課題について報告する。
交通権の阻害要因である自動車交通事故の最近の動向を見たいと思います。平成20年では事故発生件数、死者数、負傷者数ともに減少しています。特に死者数についてはピーク時の昭和45年の16,765人の30パーセントである5,155人まで減少し、第8次交通安全基本計画の目標値5,500人を2年前倒しで達成した。しかし、昨年から「歩行中」と「自動車乗用中」の死亡率の割合が逆転し、その原因など厳罰化、取締の強化などで追究したいと思います。
近年の交通環境の大きな変化により、全国的に都市の近郊への大規模な商業施設の進出が見られ、その反面では中心部が「シャッター通り」といわれる深刻な衰退状態にあります。それはまた、かつては小売業の王者を誇っていた「百貨店」の衰退でもあり、地方の老舗の経営破綻、大都市部でも業種転換や閉鎖、大手同士の経営統合と、話題に事欠きません。その動向および背景を全国縦断的な具体例とともに見ていきたいと思います。
地球環境問題から貨物輸送でもトラック輸送から海運、鉄道輸送への転換を図るというモーダル・シフトの必要性が提起されてきた。しかしながら、鉄道貨物輸送の中心であるJR貨物は、到底、それを担えるような経営基盤を有していないし、また、政府も、本腰を入れて、JR貨物を支援するに至っていない。本報告では、こうした現状に至った経緯を分析すると共に、JR貨物が果すべき役割を展望する。
当地の踏切は4年前、踏切保安係の遮断機操作ミスにより死傷惨事が発生したのを機に自動化された。ところが自動化後には、安全確保上の必然性が認められない、必要以上に長すぎる遮断時間のため「開かずの踏切」問題がいたずらに深刻化されている疑いが、極めて強い。東武鉄道による現状の踏切制御方が適切かに係る技術面での検証のほか、関東運輸局の対応方への疑問点などについても、参加者の意見を求めたい。
7月の研究大会で報告予定の「自治体別・公共交通アクセシビリティ指標」について、(1)基本的な考え方を示し、(2)算出に必要な諸条件を整理し現時点の課題を報告します。(1)では、この指標が、既存の様々な定義や目的で作成されてきた「アクセシビリティ指標」とどう異なり、何をめざしているのかを示します。(2)では、指標算出の前提となる諸条件、例えば「公共交通にアクセス可能な地域」を具体的にどう数量的に定義するか、等の処理を示すとともに、算出に向けた準備状況と課題を報告します。
交通権がどこまでの領域をカバーするかという問題は、その都度検討すべき問題である。本報告は、近年になって本格的にその産業政策的重要性が社会的に広く認識され、取組みが行われてきた観光分野について、交通権とのかかわりについて検討してみたい。
本報告は、鉄道存続運動が正当性を獲得するまでのプロセスを対象とする。鉄道の存続には莫大な費用がかかることもあり、鉄道廃止問題が発生した地域の住民は「あきらめムード」になってしまうことも多い。また、鉄道存続の大義名分を周囲に説明することに苦労するケースも見られる。
では、鉄道存続運動が正当性を獲得していくためにはどのような方法が有効なのだろうか。そもそも、鉄道存続運動が正当性を獲得することが困難な背景は何なのだろうか。
事例(島原鉄道南線存続運動など)と当事者の声をもとにして議論したい。
地方公共交通の衰退が叫ばれて久しい。この間、その空隙を埋めるべく、様々な取り組みが行われてきたが、なかなか目だった成果を挙げるまでには至っていないようだ。しかしながら、こうした実践の積み重ねの中から、ノウハウを蓄積し、全国モデル足りうる事業展開を模索していくことは極めて重要なことである。こうした観点から、現在富山県の大沢野地区で行われているシルバータクシーの取り組みについて紹介し、その意義と今後の課題について検証する。
2008年はGM、フォード、クライスラーにとって「百年目」です。米国の産業構造変化の中で石油と自動車の相互関係にも注目しながらいくつかの問題点に触れ、オバマ大統領のビッグ・スリー救援策についても検討したいと予定しています。勿論トヨタ、日産などとの比較や相互関係についての討論を期待しています。
これまでの交通・環境・まちづくりの接点にある「通学路」に関心を持ってきた。小学校区という地域(明治22年に成立した旧村)がもつ地力の一つが通学路に表出していると考える。子どもが安全に安心して歩ける通学路には、人間形成力を秘めているからである。だが、私を含めた教職員は、その通学路に車を乗り入れてきた。このことの意味を自問することを通して「脱クルマ社会」への接近を図ろうと試みたのが、本報告である。「研究ノート」というものである。
自動車燃料価格の高騰と再下落、高速道路の無料化・値下げの提唱など、自動車交通の費用の変動がみられる。このことが鉄道・バスなど公共交通にどのような影響を及ぼすかを数量的に推定する。またこのことから、自動車から公共交通に転換を促進するにはどのような経済政策が必要かを検討する。
元来、外部電源方式によって電気車が運行されている鉄道を電気鉄道と呼び、蓄電池や原動機を搭載した電気車による電気運転では電気鉄道とされなかった。近年、蓄電池のみならず燃料電池の開発で、架線なしのLRTやバスそのものによる無軌条のBRTが実現し、都市電気鉄道やLRTにパラダイム・シフトが生起しつつある。ところが、現用されている電池の耐久・信頼性を勘案し、多数の短時間大電流充電所、その配電網整備を考えると、架線を通じ大規模発電所から給電され、軌条で案内されると共に情報を得て安全制御される電気鉄道式LRTの方が交通権は保障されよう。
いま、シャッター通りという言葉を耳にします。言うまでもなく、地方都市の中心商店街の衰退です。その反面、郊外には大規模なショッピングセンターなどが出現し、日本の商業環境は大きく変わりつつあります。これはモータリゼーション、道路建設一辺倒の国の政策、さらに人口の少子高齢化などが原因でしょうが、それはそのまま、地方の公共交通の衰退とイコールの関係でもあります。この背景を歴史的に徹底考察してみたいと思います。
鉄道や自動車に関する走行量・輸送量等の数量的統計はあるていど整備されているが、徒歩・自転車・二輪車についての、歩行量・輸送量に関するデータは少ない。移動時間あたり、輸送量あたりの事故リスクの比較や、自動車の社会的費用を推計するためのバックデータ等、徒歩と自転車交通の定量化は、交通権の研究と、懸案の交通権の定量化に欠かせない課題である。今回の報告では、利用可能なデータを紹介し、いくつかの検討例を紹介する。
- 本テーマの討論内容は、学会全体の緊急シンポジウム(2007年11月10日開催)と重複することが有り得ますが、多くの人が多くの機会に討論・研究することにより、本テーマに対する認識が深められればよいと考えます。
- JR西日本「福知山線事故」については、「航空・鉄道事故調査委員会」の報告書が該当委員会ホームページに公表されています。航空・鉄道事故調査委員会
鉄道貨物輸送は環境対策の一手法であるモーダルシフトの担い手として期待されているが、これまでその主な担い手であるJR貨物を対象とした研究が中心であった。しかしながら、JR貨物の関連会社の臨海鉄道に焦点を当てた研究はあまりなされていない。そこで本研究では京葉臨海鉄道を対象として、利害関係者の共同利害による同社の生成および京葉工業地帯の重化学工業との関わりからみる同社の発展・限界についての考察を行った。
自動車交通を一つの要因としたスプロール化による中心市街地の喪失が危惧され、その再活性化が課題となる中、そもそもなぜ町には中心部が必要なのか、また街の賑わいを作り出す要因・都市の魅力とは何かという問題を、公共性、公共空間といった概念をキーワードに考察し、さらに自動車交通が街の賑わいに及ぼす影響を考え、街と自動車がどのように調和を図ればよいのか提案する。
特急列車の乗客全員のために設備されているはずのトイレ・カード式公衆電話・飲料自動販売機などが、車いす生活者だけが利用できない構造・位置関係になっている問題、また健常者であってもそこまでの往復に喫煙車の通り抜けが必要で受動喫煙を強要されてしまう問題などがどうなっているかについて、各列車への乗り込み調査を行った結果を基に、現状の問題点を指摘し今後のあるべき姿について提言する。
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